道標

 
     
 

そこから見ている僕は、そのうち居なくなるよ。



『僕』の両手を両足を両目を塞いだお前は、少しだけ満足しているだろう?
そう問いかけたくなる気持ちを抑えて、口唇を噛んだ。
油断すると、笑ってしまいたくなるからだ。

Lが興味を持った『僕』は、もうすぐ消える。
お前と敵対していた『僕』は、唯一無敵の武器を捨てることによって、『僕』が『僕』であることも捨てることになる。

ノートを持ったことによって、精神的に追い詰められ、それでも『まとも』に生きようと保つために、生まれたのは『僕』だ。
利用できるものを利用する。
『僕』がLに暴かれることのないように、四六時中ミスや間違いが無いことを繰り返し探し続けていた。
それが、どれだけ精神を圧迫しているとしても。
走り出したものは、止めることなどできない。

必要なものは『強靭な精神力』
ただそれだけを求めてた。

『人を殺す』という『罪の意識』を『新世界の神』に置換えて、『僕』は今までやってきた。

『正義』という『世界』を作り出す為に、『僕』は『自分』を変えて。
ともすれば、簡単に崩壊してしまいそうな『精神』をずっと騙して。
それで耐えられるはずだった。
正しさを判断する思考回路は、すでに麻痺していたけれど。

その『僕』が今まで積み重ねてきた『全て』がもうすぐ『無』になる。
『僕』がたった一言、リュークに伝えれば終わる。
始まりも簡単だったけれど、終わりも簡単だね。
そんなものだ。
人間も。
それくらい簡単なら、退屈な毎日を耐えながら生きることをしなくても済むのに。


救いは、Lとの対立の日々が楽しかったことだろうか。
それは、救いか?

近付く足音を耳に捉えながら、ゆっくりと一歩ずつ離れていく。
そんな些細な賭け引きが、『僕』を楽しませてくれた。

「夜神くんが好きです」

結局、本当かどうか、わからないままだね。
確かめるつもりもなかったよ。

嘘吐きの言葉を真に受けることなど、『僕』はできなかったから。

「私の初めての友達ですから」

信じることができなかったのは、悪いと思っているよ。
でも、お前は『僕』を疑っていたじゃないか。
結局、最後まで、いや今でも疑っている。
疑っているというよりは、『確信』しているだろう?

『夜神月』が『僕』であることを見つけ出した、人。

Lは唯一『僕』の『敵』だった。

それくらい、認めてあげるよ。
でも、答えは『僕』が持ったまま、消える。
お前には一生かけても教えるものか。

お前が現れたから、『僕』は『新世界の神』への『道標』を手放さなければならなくなったのだ。
その『罪』は重い。

だから、
消えていく『僕』に、執着していればいい。
『僕』がいなくなった『夜神月』に、執着し続ければいい。

それが『僕』が残していく『軌跡』だ。


『僕』にとっては最後まで、Lは『殺したい人間』だったよ。
『僕』の手で、名前を記せなかったことが、心残りかな。

直接出会って、『僕』はよかったと思っていた。
それが、間違いだったのかもしれない。

お前さえ居なければよかったのに。
お前と出会えてよかったのに。
お前が、見つけなければよかったのに。


次に目覚めた時は。
『僕』はもういなくなる。







お前と遊べなくなるのは、『寂しいね』



七日目。
『僕』は、言う。


「自分でも格好のいい状態とはとても思えないが…そんなくだらないプライドは…捨てる」





さよなら、L。










 
 

2004/09/07

 
     
 

早い者勝ち・・・のネタのつもりで。
ピュア月に変わるまでの1週間の月。
デスノートの事を覚えていないということは、
今までの事も覚えていないということ。
じゃあ、今までLと敵対していた月はどこにいったのかな?

 
     
   
     
 

 

 
 
     
 

 

 
 
     
     
     
     
     
     
     

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